全犬種で気をつけたい病気
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ペットの寿命が長くなってきたことで、人間と同じような病気にかかることが多くなりました。
犬の死亡原因は1位ガン、2位心臓病、3位腎不全となっています。
また、生活習慣が崩れることで、”メタボ”が増加し、糖尿病などの生活習慣病、関節疾患、心臓や機関の病気も増えてきています。
これらの病気の早期発見には、定期的な健康診断(動物ドック)が大切です。
種類ごとに別の動物と
考えたい動物「犬」
日本で飼われている犬は、普段よく見られる犬種でも40種類以上に上ります。
犬種別に特徴があり原産地、遺伝子的系統も違います。これが犬の体質の違いとなり、犬種ごとにかかりやすい物もある種の傾向があります。
犬種ごとの特性を知り、それに適した飼い方をすることが、健康で長生きの第一歩となります。
犬種ごとに違う、
犬がかかりやすい病気
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犬種 疾患(特に発生率が高い病気は赤字) トイプードル 筋骨格疾患(前肢骨折/膝蓋骨脱臼/椎間板ヘルニア)、糖尿病、白内障、胆泥症 チワワ 心臓病(弁膜症)、呼吸器疾患(気管虚脱/鼻炎等の上部気道疾患)、てんかん、膝蓋骨脱臼 ミニチュア・ダックスフンド 椎間板ヘルニア、歯科疾患(歯周病/歯根膿瘍)、乳腺腫瘍、副腎皮質機能亢進症、アレルギー 柴犬 犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、緑内障、外耳炎、その他アレルギー ポメラニアン 気管虚脱、筋骨格疾患(前肢骨折/膝蓋骨脱臼/股関節形成不全)、脱毛症 ミニチュア・シュナウザー 高脂血症、泌尿器疾患(尿石症/膀胱炎)、糖尿病、皮膚疾患(皮膚炎/皮膚腫瘍)、肝障害 ヨークシャー・テリア 蛋白漏出性腸症、十字靭帯断裂、乾性角結膜炎、慢性腎不全、気管虚脱 シー・ズー 眼科疾患(睫毛異常/乾性角結膜炎/角膜損傷/緑内障/麦粒腫等)、脂漏症、副腎皮質機能亢進症 フレンチ・ブルドック 呼吸器疾患(軟口蓋過長症/外鼻孔狭窄等)、皮膚疾患(食物アレルギー/犬アトピー性皮膚炎/毛包虫症/膿皮症) マルチーズ 眼科疾患(流涙症/結膜炎/眼瞼炎)、外耳炎、心臓病(弁膜症)、筋骨格疾患(膝蓋骨脱臼等) パピヨン 蛋白漏出性腸症、膀胱結石、慢性腎不全、疼痛(頸部痛/腰痛等) ウェルシュ・コーギー 腫瘍、筋骨格疾患(変形性脊椎症/十字靭帯損傷・断裂/変性性脊髄症等)、泌尿器疾患(尿石症/膀胱炎) ゴールデン・レトリーバー 耳血腫・外耳炎、腫瘍性疾患、股関節形成不全、甲状腺機能低下症 ジャック・ラッセル・テリア 外傷(喧嘩による咬傷等)、蛋白漏出性腸症、肝臓疾患、十字靭帯損傷、白内障、尿石症 ラブラドール・レトリバー 関節疾患(変形性関節症/股関節形成不全/十字靭帯損傷)、耳血腫・外耳炎、腫瘍性疾患、外耳炎 パグ 軟口蓋過長症、眼科疾患(各種角膜疾患)、皮膚疾患(皮膚腫瘍/毛包虫症/皮膚炎/外耳炎) キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル 心臓病(弁膜症)、眼科疾患(角膜ジストロフィー/各種角膜疾患)、肛門嚢炎 ミニチュア・ピンシャー 脱毛、皮膚糸状菌症、糖尿病、肝酵素上昇 ペキニーズ 眼科疾患(各種角膜疾患/その他眼科疾患)、椎間板ヘルニア、呼吸器疾患(肺炎等)、膀胱結石 ビーグル 第三眼瞼脱出(チェリーアイ)、口腔内腫瘍、甲状腺機能低下症、椎間板ヘルニア イタリアン・グレーハウンド 骨折(前肢骨折/その他様々な部位での骨折)、てんかん、外傷、白内障 ボーダー・コリー 外傷、多飲多尿、慢性腎臓病、関節疾患(関節炎/十字靭帯損傷) シェットランド・シープドッグ 泌尿器系疾患(特に腫瘍/その他)、変形性膝関節症、高脂血症、甲状腺機能低下症、慢性腎臓病 ボストン・テリア 眼科疾患(角膜ジストロフィー/各種角膜疾患/緑内障)、軟口蓋過長症、毛包虫症、耳血腫
ワクチンで防ぐことができる代表的な犬の病気
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犬ジステンパー
発熱やくしゃみ、鼻水、目ヤニの症状に続き、下痢などの症状が起こる。一部では強い神経症状を引き起こすこともあります。
1歳以下の子犬に発病することが多く、死亡率も高い病気です。 -
犬伝染性肝炎
感染初期はジステンバーと同様の症状を示し、続いて肝炎の症状を引き起こします。回復期に白~青白色の角膜混濁と認めることもあります。子犬では突然死することもある怖い病気です。
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犬パルボウイルス感染症
激しい下痢、嘔吐を引き起こし、急激に衰弱していきます。二か月未満の子犬では心筋炎を起こし、急死に至る場合もあります。伝染性が強く死亡率も非常に高い怖い病気です。
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犬レプトスピラ病 黄疸出血型 カニコーラ型
犬だけでなく人間にも感染することがあります。細菌によって腎臓や肝臓がおかされる怖い伝染病です。いろいろなタイプがありますが、代表的なのは、歯茎の出血や黄疸がみられる黄疸出血型と高熱、嘔吐、下痢を起こすカニコーラ型の2種です。
アウトドアで活動する犬ほど感染しやすいので、お散歩に行く子は予防が必要です。 -
犬アデノウイルス2型感染症
アデノウイルスによる感染症で、肺炎や扁桃腺炎など呼吸器病を引き起こします。
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犬パラインフルエンザ
パラインフルエンザウイルスによる呼吸器病で、咳や鼻水、扁桃腺炎を起こします。アデノウィルスや細菌と一緒に「ケンネルコフ」と呼ばれる犬のカゼ症候群を引き起こします。
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犬コロナウイルス感染症
腸炎をひき起こす感染症で、下痢や嘔吐などの症状が出ます。パルボウイルスと混合感染すると症状は重篤化します。
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狂犬病
狂犬病予防法でワクチン接種が義務づけられています。生後90日(3か月)過ぎた犬は、予防接種を受け、その後は毎年1回注射を受けなければなりません。
交付された注射済票は、万が一迷子になった時に注射済番号で飼い主様が分かりますので、出来るだけ首輪につけておいてください。
また、生涯に一回、市町村に犬の登録(生涯登録)の申請も受けておく必要があります。
犬フィラリア症について
知っておきたいこと
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犬フィラリア症が怖いのは
なぜか?フィラリアは寄生虫の名前です。英語ではハートワーム。心臓糸状虫(犬糸状虫)を意味します。この虫が蚊の媒介によって心臓・肺の血管に住みつき、様々な障害をおこします。これが犬フィラリア症です。
長いものでは28cmもあり、長期間心臓に寄生して血液の循環を悪くし、肝臓・腎臓・肺など多くの臓器に異常をきたします。特に小型犬では少数寄生でも重い障害を起こす怖い病気です。 -
ひとつでも思い当たったら
犬フィラリア症に要注意心臓をはじめ多くの内臓が障害をきたすので犬フィラリア症の症状はさまざまですが、比較的飼い主が気がつきやすいものには、下記のようなものがあります。
- 食欲がなくなる
- 散歩に行きたがらない
- ゼーゼーした咳をする
- 体重が減少する
- 運動後に失神して倒れる
- 呼吸が速くなる
- 口・眼などの粘膜に赤味がない(貧血)
- 腹囲が大きくなってきた(腹水)
- 尿が赤ブドウ酒様に赤味を帯びる(血色素尿)
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室内犬にとっては、
散歩中が最大の感染危険タイム犬フィラリア症は犬から犬に直接感染するのではありません。
犬フィラリア症にかかっている犬の血液を吸った蚊に刺されることから伝染していきます。
室内に飼われている犬でも朝夕の散歩で蚊に刺されれば、フィラリアが感染し、成虫が心臓に住みつきます。 -
フィラリアの発育環境
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Step01
感染犬を吸血
フィラリアにかかっている犬の血液中には、0.3mmくらいの子虫(ミクロフィラリア)がいて、蚊が血液を吸うとき、蚊の体内に入ります。
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Step02
成虫
約3か月たつと成虫となり、子虫を生み出します。
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Step03
心臓に移動
成長を続けながら、心臓や肺動脈にたどりつきます。
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Step04
吸血
感染幼虫をもった蚊が吸血する時、幼虫が皮膚に侵入し、感染します。
約3か月間、皮下や筋肉内で成長を続けます。
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Step01
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予防法
残念ながらフィラリアの感染を予防できるワクチンはありません。
愛犬を守るためには予防薬(実際には駆除剤)を正しく与えることです。この予防薬は、蚊から感染した幼虫を心臓にたどりつく前に駆除することができます。
しかし、すべての発育段階の幼虫に効くものではないので、5~12月に1か月に1回の投薬を継続をしないと不完全な予防になってしまいます。
12か月効果があるフィラリア予防注射では1年に一回の注射で確実な予防ができます。 -
予防期間は
いつからいつまで?蚊が出てきてた1か月後から投薬を始め、蚊がいなくなった1か月後までの期間を予防します。
当院では12か月効果の持続するフィラリア予防注射も取り扱っております。ご興味のある方はぜひご相談ください。
犬の消化管内寄生虫について
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犬は、ペットショップやブリーダーからの購入時以外にも、日常的にお散歩やドックラン等で他の動物の排泄物と接触する可能性があるため、消化管内寄生虫に感染する可能性があります。
そのため、お散歩やドックラン等にいく子は、フィラリアと一緒に消化管内寄生虫の定期駆除も出来るフィラリア予防薬の使用がお勧めです。
なお、消化管内寄生虫の検出には検便で行いますが、場合によっては複数回の検便や検査キットの使用が必要となります。